FORZA!!ザスパクサツ群馬 > 【蹴球書評】RUN 〜流浪のストライカー、福田健二の戦い〜
2015年01月31日

【蹴球書評】RUN 〜流浪のストライカー、福田健二の戦い〜





◆内容(「BOOK」データベースより)
母の言葉を胸に、世界に挑戦する福田健二。Jリーグを経て、パラグアイ、メキシコ、スペインへ。福田健二は、活躍の場を世界に求める。彼はなぜ海外にこだわるのか。プレーに隠された深層に迫る渾身のノンフィクション。



◆「遺書。」に記されたメッセージ。福田が歩む激動のサッカー人生

「RUN」は、2005年に作者の小宮氏が、雑誌Numberで発表された「遺書。」に、加筆・修正がなされ出版されたものです。この作品でも、冒頭に「遺書」というパートがあり、物語はそこからスタートします。

物語の主人公は、福田健二。名古屋、FC東京、仙台でプレーしたFW。仙台を退団後は、活躍の場を海外へ移し、この本ではパラグアイ、メキシコ、スペインでプレーしていた時のことが綴られています。

冒頭に出てきた遺書というのは、福田の母が自殺した際に書き残したもの。福田と四歳年の離れた兄へ向けた、二通があったそうです。

福田は幼い頃に両親が離婚し、母子家庭で育てられました。貧しく、生活に苦しむ毎日だったようです。

そんな辛い日々に、耐えきれなくなってしまった母。幼い兄弟を残し、自ら命を絶ってしまうことに……。

このエピソードは、タイトルから想像するより、かなりショッキングな内容でした。ここでは詳細まで触れないですが、「こんな生い立ちのプロサッカー選手が日本人にもいるの?」というのが、正直な感想でした。

そもそも、自分は恥ずかしながら、福田健二というプレイヤーも、この本と出会うまで知りませんでした。(ザスパの元10番・廣山望と同級生で幼馴染だそうな!!)

どのようなプレーをするのかは見たことがありませんが、この本ではプレーヤーとしての人となりを、「尊敬されるエゴイスト」と、紹介されていました。



◆“尊敬されるエゴイスト”、福田健二を動かすモノ

“エゴイスト”というのは、他者を顧みずに利己的に振舞う者を指す言葉なので、“尊敬”に結びつき難いものです。では、福田はなぜ尊敬されるのか?

福田のポジションはFW。どんな素晴らしいアシストよりも、不細工だろうが“ごっつあん”だろうが、得点が全て。そういっても過言ではないポジションです。

当然、「最後はおれがもっていく」という、エゴイスティックさが必要です。福田が、その気概を備えている理由は、この本を読めば充分理解できました。

壮絶な家庭環境に立たされた彼の戦いは、ピッチの中だけではなかったわけで、「彼のゴール前での迫力は並の選手と違った」という証言も納得できるものでした。

しかし、そういった選手は得てして、周囲との軋轢を生じやすい人格になりがちです。

ですが、福田は自ら築いた家庭を心の拠り所とし、周囲からも尊敬されるプレーヤーと言われている。

この部分が、この本の何よりの魅力だなと、個人的には感じました。

福田を支える奥さんであったり、幼いうちから海外生活を強いられてしまった娘、共に母を失った兄、母亡き後に育ててくれた破天荒な父、天国の母。

サッカーそのものに対する熱はもとより、家族の存在こそが、福田をサッカー、果てはゴールへと駆り立てる原動力となっているのかと思います。

また、福田の視点から描かれる作中にあって、家族との談話は何か訴えてくるものを感じ、つい自分と重ね合わせてしまいます。

ストレス社会と言われて久しい現代で、誰しも何かしら不満を抱えて生きていく中、「お前は本当にやりきってるのか?」と、喝を入れてくれるような、そんな作品だと思います。

ちなみに、この福田選手。この作品の最後ではスペイン2部でプレーしていますが、その後ギリシャへと渡り、2009年に日本へと復帰。

故郷の愛媛FCで、2012年までプレーした後、再び海外へと渡り、37歳となった今も香港でプレーしています。

現役を続けているだけでも凄いのに、先日ハットトリックを達成したというニュースまで!!


本当に、“尊敬されるエゴイスト”なんだなと思いました。

果てなき、サッカーへの熱意。

……凄い!!





◆著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
小宮 良之
1972年横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大学に留学。2001年からはバルセロナに渡り、語学力を駆使してスポーツノンフィクションライターとして活動を始める。トリノ五輪、ドイツW杯など様々な取材を展開後、2006年から日本に拠点を移す。2005年に『Number』で発表した「遺書」が第2回zassi.net記事大賞、人物・インタビュー部門賞を受賞








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posted by リーオー at 00:36 | Comment(0) | 本、雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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